夫婦関係に悩んで、私のところに相談に見える方には、2つのパターンの方がいます。1つは明るい表情で「こんにちは」とドアを開ける方。2つ目は暗い表情で挨拶もなく、伏せ目がちにドアを開けて、こちらに目を合わせようともしない方です。どちらの方が、夫婦関係を修復できそうだな、と私が感じると思われますか?
もちろん、1つ目の方です。
2つ目のパターンのかたのほうが、より深く悩んでいるのではないのか? 辛いからこそ、笑顔になれないのだとすれば、そうした人が修復できにくいと受け止めるのは、カウンセラーとしてよくないのでは? と思われる方もいらっしゃるかと考えます。
なぜ、悩んでいるのに、笑顔で明るく挨拶できる方のほうが、修復できるのかといえば、そうした方は自分の感情をコントロールできていると考えるからなのです。人と接するときに、その人が相手軸に立って行動するのか、自分軸に立って行動するのか、に私は着目しています。
自分が辛いときに、誰かに暗い表情で接する人は、自分の辛さを理解してほしいという自分軸に立ってしまっているのです。比べて本当は辛いのに明るく接する人は相手軸に立って行動できる人だと考えます。
では、どちらが相手の気持ちを動かすことができるのかといえば、それは相手軸に立って行動できる人です。自分の感情をコントロールできず、落ち込んでいる自分を見せてしまう人が、相手との距離を縮めることはなかなか難しいと思えるからです。
そして、明るい未来を感じさせてくれる人に、人は惹かれるはずです。
未来を語るときには、過去の辛い経験や反省ばかりを伝えるより、これから訪れる明るい未来への具体的なビジョンや「こうしたい」「こうなりたい」というポジティブな言葉こそが、より相手の気持ちを動かすものです。
ですから、今の辛い過去やこじれた関係性を変えたいのなら、明るい未来を感じさせるポジティブな言葉を明るい表情で、相手に伝え続けることが、とても効果的です。