夫婦間では相性のよさをどのように考えられているのでしょうか? 一般的な相性のよさとは、単に「仲が良い」という意味だけではなく、行動の仕方や価値観が噛み合うかなどを総合的に評価したもののことをいうようです。
私が考える「相性のよさ」とは、互いに「伝えたいこと」がスムーズに相手に伝わり、スムーズに受け止められる関係性なのです。
夫婦関係に悩んで相談に来られる方の多くが、「相性が悪い」「相性が合わない」という言葉をよく口にされます。
そのときの「相性のよさ」とは、自分の思いや考えがスムーズに伝わるかどうかに特化しているのではないでしょうか。相手の思いや考えをスムーズに受け止められているかどうかについては、あまり考えられてはいないように感じています。
相手からの言葉の真意を察して受け止めることが大切です。こうしたときに役立つのが、ビジネスシーンでのコミュニケーション術である「イエスバット話法」です。
「イエスバット話法」とは、相手の意見を「そうですね(Yes)」と肯定した後に「しかし(But)」と否定の意見を述べるという話法です。相手の意見を尊重しながらも自分の考えも提示できるという方法になります。ビジネスの場では、こうした方法を使うことで、コミュニケーションがスムーズに進むといわれています。
私はこうした方法は夫婦間でも有効であると考えています。相手の言葉に対して「わかるわかる」「そうだよね~」「たしかに!」などと一旦肯定して受け止めて、その後で、「でもね」「だけど」などの逆説の言葉をはさんでから、自分の考えを伝えるのです。
こうしたコミュニケーションがとれると、夫婦関係は安定したものになるのでではないでしょうか。ちょっとしたアドバイスや感想を伝えただけでキレてしまうパートナーでは、安心して話ができませんよね。
話しやすい相性のよいパートナーとみなされるには、自分の思いばかりを伝えるのではなく、相手の思いや考えを受け止められる「受け止め上手」になることが大切なのです。時には、相手の言葉の裏にひそむ優しさや気遣いまでを受け止めることが学べると受け止め上手の上級者といえるでしょう。