私の相談サロンにお見えになる女性の相談の多くが、夫からのモラハラに悩んでいるというものです。特に、熟年と呼ばれるご夫婦の妻が「夫からのモラハラ」に長年悩んできた結果、離婚を考えているという相談は多いのです。
ただ、こうした妻からの離婚相談には注意が必要だと考えています。「夫から〇〇のように言われた。もう耐えられないので離婚を考えている」という話には、十分な聞き取りをするように心がけています。
先日、お見えになった専業主婦の妻からの相談は、「夫から家事、特に夕飯の準備の要領が悪いと叱られる」というものでした。夫が21時には自室に戻りたいので、夕飯は18~19時にとりたいと言われているが、いつも支度が間に合わず夫に叱られるという状態が続いているようです。この夫からの叱責がモラハラになるという訴えでした。
妻によれば、夫は段取りよく仕事をこなすタイプで、妻にも要領のよさを求めているということです。また、夫はこだわりも強く、細かいルールが多く、少し面倒くさいタイプなのだそうです。こうした夫であるから、夫は妻の横領が悪いから夕飯の支度が遅れると決めつけて怒ってくる、こうした態度や言葉がモラハラにあたると妻は不満をもっているのです。
話を聞いているうちに、夫の言い分にも一理あるように思えてきました。どうも、妻は夕飯の準備だけでなく、後片付けにも時間がかかり、夫が寝ようとする時間に食洗機をかけることもあるようです。そして、夫から「食洗機がうるさい」と怒られると、妻はこれも「モラハラ」と考えて、ますます離婚したいという気持ちが強くなる、という悪循環になっています。
この問題の原因が「妻の段取りの悪さ」であるなら、改善策はあるはずです。ところが、夫からの話も聞いてみると「妻がわざとやっている」と思っているようなのです。夫からすると、こうした夕飯の支度の遅さや自分が寝る時間に後片付けの食洗機を使用をすることを一種の当てつけ、挑発のように感じてしまっているのかもしれません。
こうした夫婦間の思いの行き違いが、離婚にまで発展するケースは少なくありません。両者が自分の考えや気持ちに頑なになってしまった結果、関係がよりこじれてしまうこともあります。相手の言葉や言い方にこだわって、本来の解決策を見失ってしまわないように、こじれた関係性の真の原因を見つけることが大切です。

