妻が熟年離婚を選んだ理由は?

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2019年度の厚生労働省の調査によると、日本の離婚率は約35%前後で、3組に1組の夫婦が離婚しているというのが現状です。そうした離婚をする女性のなかで熟年離婚を選ぶ女性は少なくありません。
 熟年離婚を選んだ女性のなかには、長年の結婚生活のなかで繰り返される夫の不倫に悩まされて、果に離婚を選んだという妻もいます。しかし、離婚を決意したのは、実は遡ること20年以上前という妻もいるのです。
 20数年前というと、出産の時期にあたる女性が多いようです。出産時に夫の「無理解」に苦しめられる妻は想像以上に多いのです。出産前後のつらさを夫は体感できないにしても、理解しよう、寄り添おう、助けようという気持ちのない態度や言葉に、妻は悲しい思いをしています。
 そうした思いを経験した妻は「いつか離婚する」とひそかに決意してしまいます。そして、子どもたちが成長したある日、突然に、ついに離婚届けを差し出します。
 こうした離婚を決意した妻は、育児や家事を夫の助けを借りずにワンオペでこなしながら、愚痴や文句などを決して夫に話しません。なぜなら、夫には話したくないと思うからです。そして、そうした自分の気持ちを再び確認すると、絶対にいつか離婚しようと強く決心することになります。
 こうして、妻は心を打ち明けられない夫と、老後をともに過ごす選択肢はないと、30代で離婚を決めてしまいます。決めてしまったら、「夫は子どもたちの学費のために必要な人」と割り切って、夫との生活を淡々と続けていくのです。
 そして、子供の成長が確認できたある日、夫に離婚届を突きつけ、離婚を宣言します。そのときの夫のぽかんとした顔を見たとき、目標が達成されたと感じます。それこそが、20数年越しの夢の第一歩となるのです。当然、夫は「どうして?」を繰り返します。そんな理由がわからない夫の反応にこそ、すべての理由があると妻は思っています。

 妻から離婚を告げられた多くの夫が、なぜ、突然そんなことを言い出すのか、と相談にみえます。でも、妻のほうから話を聞くと、長年をかけてさまざまなサインを送ってきたはずといいます。20数年前から、夫婦はすれ違ってしまっているのです。
 長い間、妻は何度も再構築を願って、夫に多くのチャンスを与えてきたはずなのです。夫はそのたびに気づかず、妻を失望させてきたのです。こうしたことが繰り返された末の、妻の離婚宣言は簡単に覆ることはありません。妻が離婚を決意すると、修復が難しいと言われる所以です。
 男性には、なかなか納得できない話かもしれませんが、妻の隠された真の思いに気づける努力が必要なのかもしれません。

この記事は私が監修しています | 夫婦問題研究家 岡野あつこ
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