パートナーに伝える言葉や表現は、明るい未来が見えるようにすることが大切であることはお伝えしました。ただ、注意すべきは、その言葉や表現が一方的であったり、決めつけになってしまっては逆効果になりってしまいます。
ある相談者が妻から突然に「離婚」を切り出されました。それは、彼にとってあまりにも驚くべきことで、考えたこともないことで、「青天の霹靂」と言ってもよい出来事だったのです。
相談を受けた私は、「二人が明るい未来が描けるような言葉をかけましょう!」と提案しました。ところが、焦ってしまった彼はミスをおかしてしまいました。
彼が妻にかけた「明るい未来が描ける言葉」とは、「駅前のタワーマンションに引越そう!」「ハワイに行って、二人でゴルフをしよう!」「おいしいステーキ屋ができたから、一緒に行こう!」だったそうです。この言葉を聞いた妻はため息まじりに「それって全部あなたがやりたいことでしょう? そういうジコチューなところが嫌なの。私には私のやりたいことがあるのよ」と言い返してきたそうです。
この夫の言葉には、どんな問題があると思われますか? 私が彼に伝えたのは、これらの提案を妻が喜ぶに違いないと妄信してしまい押し付けがましくなっていること。もう1つは、自分がうれしいことは妻も喜ぶに違いないと決めつけてしまっている点です。
妻が夫に望んでいたのは、気持ちや思いやりの話なのです。お金をかけてほしいなどと望んでいたわけではありません。夫のトンチンカンな提案に妻は「何もわかってない!」と苛立ちさえ覚えたに違いありません。こうした勘違いは、男性がやりがちな失敗なのです。こうした失敗をしないためには、妻に伝える前に身近な女性に相談してみるとよいでしょう。
大抵の妻たちは、結婚するときに満点だった夫から、減点法で夫を観察しているのです。初めのころなら、加点もあるでしょうが、減点ばかりがかさんで行くと、本来なら加点されるべきよいところさえ目に入らなくなってしまいます。
そして、夫の点数が「0=ゼロ」になってしまうか、「-(=マイナス)」になったときに、妻は離婚を口にします。そうなるまでに、妻は何度も不満や要望を夫に伝えて来たはずなのです。そのことに気付けない夫は、ある日突然に(!?)、妻から「離婚」を告げられることになります。思い込みや決めつけが続くと、思いがけない結果になったしまうので、注意しましょう。