夫婦やカップルが同じ寝室で眠ると、良いこともあれば悪いこともあります。
まず、デメリットとして考えられるのは、就寝や起床の時間の違い、寝室の温度や明るさの好みに違いなどがあると、どちらかの睡眠不足になってしまうということです。
そして、このどちらかの睡眠不足が夫婦げんかにも大きく関係しているようなのです。アメリカの大学の精神科による研究によれば、妻の寝つきが悪く睡眠不足だった場合、翌日、妻は不調であることが多く、夫も同様に不調を訴える傾向が強くなったと報告されています。妻の寝つきが悪かった翌日は、夫婦げんかが起きやすいという結果です。
これは、睡眠不足のときは、脳内物質の1つである「セロトニン」が減ってしまうからです。セロトニンには精神を安定させる働きがあるので、そのセロトニンが不足すると、気持ちがイライラしてキレやすくなります。ですから、妻の寝つきが悪かった翌日は、当然、夫婦げんかのリスクが高まることになるのです。
では、夫婦やカップルが同寝室で眠ることのメリットはどうでしょう。
先ほどのアメリカの大学による別の調査では、パートナーとよい関係が長くつづいている女性は、独身やパートナーと別れた女性よりも、寝つきが良く、夜中に目を覚ましにくいという結果が出ています。
これは、パートナーと眠ることで安心感が得られ、「コルチゾール」などストレスホルモンの分泌が抑えられるためではないか、と考えられています。また、ベッドを共有することで、不安感を和らげるホルモンである「オキシトシン」は増えています。このオキシトシンは「ラブホルモン」とも呼ばれる夫婦やカップルにとって大切なホルモンです。
わかりやすい同寝室のメリットは、「一緒にいる時間が増えること」です。最近の共働き夫婦の場合、日中はもちろんですが、食事の時間も別々というケースも少なくなく、「夫婦の会話時間」が少ないカップルも増えています。そうした夫婦にとっては、寝室が一緒ならば同じ空間にいる時間が増えるので、会話時間が増え、スキンシップも増えるのではないでしょうか。
では、別々に寝ることのメリットはどうでしょう。まずは「同寝室のデメリット」であったことが、別寝室のメリットとなります。
別々の寝室にしたことによって、2人の空間が分けられます。パートナーに見せたくない部分は隠しながら、相手の影響なしに自分の好みに合った快適な環境で、安眠できるということです。さらには、自分だけの空間を持つことでリラックして気持ちのリセットもできます。ケンカ中の相手と話がしたくないときには必要な冷却時間ももてるでしょう。
次に、別寝室のデメリットですが、まずはコミュニケーションの量が減ることです。つまり「会話が減る」「スキンシップが減る」そして「セックスの回数が減る」ことも考えられます。ただ「夫婦別寝室=セックスレス」というわけではありません。
また、別寝室、特に寝室が離れている場合、パートナーの様子を知るのが難しくなることもデメリットになります。高齢のカップルやパートナーに持病があるような場合には、大きなリスクになるかもしれません。
では本当に快適な、理想の夫婦の寝室はどちらなのでしょうか。結論からいえば、夫婦の数だけ事情や好みがあり、どちらがいいかを決めることは簡単ではありません。同寝室であれば夫婦は仲が良く、別寝室は不仲、といった単純な話でもないのです。
同寝室であっても別寝室であっても、夫婦がお互いに納得のうえであれば、なんの問題もありません。寝室が別になることでコミュニケーション不足やセックスレスになりがちかもしれませんが、2人に信頼関係があれば大丈夫です。問題なのは、「話し合いができない」「相手の納得が得られていない」状態でいることです。
つまりは、同寝室か別寝室かというのは、夫婦の生活のスタイルの違いでしかありません。夫婦間でしっかりしたコミュニケーションとれているかどうかが問題なのです。