「いい離婚」をするためには

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「結婚後も女性たちが輝ける社会」「夫も家事や育児に積極的に参加を」と言われる昨今ですが、現状はなかなか改善されていないのではないでしょうか。
 そんな中、「憧れの元夫婦」という週刊誌のアンケート調査で得票数が一番多かったのが、大御所芸人と大女優の元夫婦のカップルです。彼らは家庭と仕事の両立が今以上に難しかった時代に、円満離婚をしています。そして、彼らは離婚したあとも、元夫婦としてTVで共演し、仲のよいお笑いコンビのような姿を見せてくれています。元妻は2人の関係を「友達以上、家族未満」と話していますが、私はこの元ご夫婦は日本では最先端の夫婦ではないかと思っています。
 まだまだ日本では、離婚というと双方の「争い」として捉えられやすいのではないでしょうか。弁護士をつけて調停や裁判をすれば「勝ち負け」を争い、感情的な勢いで協議離婚をすると、後になって条件についてもめるケースも少なくありません。離婚において大切なことは「どちらが正しかったか」を決めることではありません。
 日本人は「いい離婚」をしようという意識が低いようです。
 離婚大国とよばれるアメリカでは離婚後も元夫婦が2人で食事をしたり、相談相手になるなど、親しく付き合いを続けることが一般的です。〈IACP〉という団体が「もめない離婚」を推奨していて、双方の弁護士が手を組み、話し合って「仲よし離婚」ができるシステムが進められています。
 こうした「仲よし離婚」をするには、お互いへのリスペクトは欠かせません。離婚後も仲よくできるかどうかは、離婚時に揉めるかどうかで決まってきます。お互いにしっかり話し合い、お互いが認め合える離婚ができるかどうかが重要なのです。
 いろいろな夫婦の姿があるでしょうが、一度は好きになった相手です。「この人に出会ったから今日のの自分がある」と思える離婚を目指せば、離婚後の人生がもっと充実するはずです。
 ただ「好き」という感情は厄介なものでもあります。「いい離婚」の妨げにもなりかねません。離婚は相手が好きすぎると女々しくなってしまうし、嫌いになりすぎると闘いになってしまいます。ほどほどに好きくらいでないと「いい離婚」はできないのではないでしょうか。夫婦は夫婦でいるときも、離婚してからも「ほどほど」がよいのかもしれません。

この記事は私が監修しています | 夫婦問題研究家 岡野あつこ
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