「脱ハンコ」・離婚届と結婚届のオンライン化

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今年も残すところあと1か月あまりとなりました。
 終わりの見えないコロナ禍ですが、結婚も離婚もこうした時に気持ちが固まるものです。データを見ても、毎年3月に離婚件数がピークになり、5月に1番少なくなります。ですが、今年の5月の離婚件数の減り方は半端ではなく、いつもの年よりも大きく減っています。
 やはり先の見えないコロナ禍では、離婚どころではないと思う人が多かったのでしょう。
 しかし、今までに何度も言ってきたように、こうしたコロナ禍のような一大事が起きてる時には、このままでいいのだろうか?? この妻とこれからもずっとやっていけるのだろうか?? そういう悩みを抱えた夫や妻が相談にみえます。
 私のポリシーは「離婚はしないに越したことはない」です。
 こういう時にこそじっくり考えて、考え抜いて自分の人生のこれまで、そしてこれからの将来を考え抜いて出した結論は、損得抜きで気持ちを第一に優先にして、真摯に受け止めたいものです。
 もちろん大きすぎる損失は避けなければいけませんが、損したとしても後に得がとれるような術はもっておきましょう。
 これは結婚も同じです。
 こういう不安定な時には、ひとりで死にたくない、不安な毎日を送りたくない、だからいい人と巡り会いたい、と特に強い気持ちを抱くようになるものです。ただ結婚の場合は、常に慎重にならないと、後でまた離婚ということにもなりかねません。

 最近、国の政策で「脱ハンコ」、離婚届と結婚届のオンライン化が話題になりました。私も、テレビやネットで取材にも応じてきました。
 岡野あつこ的に言えば、離婚の場合は脱ハンコ、オンライン化に大賛成。
 なぜなら、区役所に行って、離婚届を出すというのは、体験してみるとわかりますが、案外恥ずかしいものです。そして離婚を決意した人は、1日も早くリセットしたい、新しい人生を歩みたいと考えているはずです。
 ですから、決意をしたら、もう今日にでも離婚届けを出したいものなのです。そうしたときに、ハンコが見つからない、買いに行かなきゃならない、といった手間はナンセンスなのです。
 ですから、私は離婚届の脱ハンコ・オンライン化については大賛成です。
 ですが、結婚についてはちょっと待った!! 結婚はより慎重にならないといけないものだと考えています。
 役所に行き、手続きを進めるなかでよく考えるべきです。たとえば、書き間違えが見つかったけれど、ハンコがないと訂正できない、ならば一旦家に戻って……そうこうしている間に、この結婚でいいのかな???、と考え直すこともあるかもしれません。ちょっと待てよ、あの時ああだったからこうだったから、いろいろと思い始めると、この結婚はもう少し待とうかな、などと思い始めることもあるかもしれません。
 また、このハンコの押印を最後に、新しい苗字のハンコになってしまうんだなと、感無量になってしまうこともあるでしょう。ハンコを押したり、面倒な手続きを踏むことで、結婚に対する真摯な意識がより高まり、幸せな結婚へと繋がるのではないでしょうか。
 そうした理由でで、私は結婚届の脱ハンコオンライン化は反対です。
 同じ押印が必要な手続きであっても、結婚と離婚では大きく意味が変わります。結婚も離婚も同様に「脱ハンコ・オンライン化」というわけにはいかないのです。

この記事は私が監修しています | 夫婦問題研究家 岡野あつこ
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